中国のアニメイベントとコスプレ事情の変化(2)

コスプレ事情の変化を書く前に、アニメイベントの変化についても、もう少し触れておきたい。

これまで、中国産アニメは中国国内で人気がないと言われ続けてきた。
実際、中国政府のアニメに対する表現規制の影響で、面白いアニメは少ないし、日本アニメのパクリのようなものも多い。
そんな中、子供向けアニメ『喜羊羊与灰太狼(シーヤンヤンとホイタイラン)』は、中国産アニメ成功事例とも言える。ロングランと全国展開は、ほかのアニメが真似ているほどである。

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喜羊羊与灰太狼

2008年、2009年の中国のアニメイベントのブースには、このアニメのブースを必ず見かけ、関係グッズを持った子どもも多かったと記憶している。
それが、2010年に入り少しずつブースの変化が見られるようになる。
中国発の人気オンラインゲームの登場である。中国には据え置きタイプのゲームがない。それもあり、元々オンラインゲームの人気が以前からかなり高かった。2005年には「オンラインゲーム熱中防止システム」やら「ゲームやりすぎ規制」などが政府から発表されたほど。
2013年にはテンセントが中国のオンラインゲームの世界シェア57%に到達しており、当然のように、アニメイベントのブースも、オンラインゲームブースが半数を占めてくるようになった。
とにかく、このオンラインゲームのブースが、商魂たくましい。
ただの出展では終わらない。PRして終わりではなく、確実にユーザーを取り込みに来るのだ。
もちろん、日本のゲームショーでも馴染みである『ゲーム実況中継』や『ゲーム解説』有名な声優、歌手による『トークイベント』など展開される。しかし、中国のイベントではそれだけではない。
オンラインゲームであれば、その場でユーザー登録すると様々な特典がつく。だけでなく、体験スペースにも工夫を凝らしている。

中国コス2-2

人気のあるゲームとしては、古剣奇譚などの奇譚シリーズ、仙侠世界、英雄連盟などがある。古剣奇譚はドラマ化もされた。英雄連盟以外は中国古代ファンタジーだ。
あまりにも人気になり、同じようなアニメ・ゲーム・ドラマが乱発した為、政府が中国古代ファンタジーと言うジャンルに対して一時的な規制を掛けたほどである。
また、アニメからゲーム化されたものとして、泰時明月もある。さらにドラマ化までされている。
泰時明月泰時明月2

コスプレの流れも、当然アニメの割合とオンラインゲームの割合が拮抗してくる。
近年では、オンラインゲーム優勢ではないだろうか。
(1)でも述べた、中国オリジナルのコスプレはアニメイベントのブースの変化と比例しているように感じる。
中国で人気があるコスプレイヤーは、男性コスプレイヤー(男性レイヤー)が圧倒的に多い。または、女性による男装レイヤーである。
日本の男性レイヤーの中にも、何度も招待されている人もいる。
何故女性レイヤー人気がそこまで行かないのか。それは、コスプレファンの多くが女性だからである。
男性レイヤーは、中国のオタク女性にとって手の届くアイドルに近い存在なのではないだろうか。中国の有名な男性レイヤーは背が高く甘い顔立ちが多い。

コスプレ大会で入賞または微博でブレイクすれば、プロとして活躍できたチャイナドリームも、変化を始めている。

中国ではアニメなどはネットで視聴するのが主流である。テレビ放送などは規制されて日本のアニメなどはあまり視聴できないからだ。特に、土豆や優酷などのオンライン動画配信サービスも充実している。
そんな中で日本でニコニコ動画が流行り、中国ではそれを踏襲した「BiliBili動画」が現われた。その影響は大きく、オンラインユーザーの心を掴んだ。
コスプレだけでなく、ESとよばれるエレクトロニックスポーツの世界も今や中国が熱い。 オンラインゲームによる対戦形式のゲームスポーツである。
対戦は実況で生放送され、日本であればニコニコ動画にUPされるように、中国ではBiliBiliにアップされる。

今まではコスプレイヤーになることが『有名人』になる近道であったが、 BiliBili動画によって、誰でも投稿でき、誰もが有名になる機会を得た。
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もっとも変化として顕著だったこととして、中国からのブッキングの相談が2015年には大きく変化した。
それまでのイベントゲストとしての問い合わせが多かった、アニソン歌手やコスプレイヤー、声優といったものが、ニコニコ動画で有名な踊り手、歌い手、などが圧倒的に増えた。少なくとも、2014年のニコニコ関連の問い合わせ件数は片手ほどであったが、2015年では両手で足りないほどである。
相談が増えた要因として、そもそものギャランティ設定も、プロのアニソン歌手に比べて比較的招待し易い金額設定であることも影響していると考えられる。

ほかに、コスプレイヤーでなくとも脚光を浴びる機会は増えた。
アニメダンス、オタクダンス(宅舞)と呼ばれ、アニソンに合わせた創作ダンスである。

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1~3名のものから、10人前後のグループダンスなど、数種類ある。

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ボカロ曲のほかにも、AKBやラブライブなどの宅舞も人気がある。
コスプレで有名になるには、衣装のクオリティ・写真の加工技術・微博での拡散力などが求められる。
しかし、BiliBiliでの人気の番組は、そういった加工されたものよりも、「コミカルなもの」「風刺的なもの」「共感できるもの」に人気があるようである。
もちろん今後は、よりクリエイティブなものも求められるようになるのは創造に難くない。 日本から招待されるゲストの割合も変化してきており、日本人コスプレイヤーが招待されなくなる日も近いかもしれない。

既に、中国では「スターに憧れる」時代が終わり、「自分がスターになる時代」に移り変わりつつある。
コスプレの隆盛期は、安定期に移行しつつあると見ているイベント関係者もおり、見ようによっては、日本発のアニメのコスプレは衰退しているように映るだろう。

これまで日本発祥のアニメやコスプレでスターになることを夢見てきた中国の若者たちは、今や中国オリジナルで頂点を目指す。

では既に頂点に立つものは凋落を待つばかりなのだろうか?
いや、もしかすると、有名なコスプレイヤーがプロデュースしたオンラインゲームがヒットする、BiliBiliから人気俳優が生まれる、そういった現象がこれから生まれてくるかもしれない。

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